飛騨・高山の家具メーカーshirakawa
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和魂
japanese hearts we express japanese hearts in the from of fumiture

和魂ダイニングセット

「食堂と応接間」から「LDルーム」という空間に変わっていく中で、ダイニングからリビングまでのトータルセットの需要が増えていたのですが、飛騨ではまだまだトータルで出しているメーカーが少なく、一刻も早く開発をする必要がありました。
当時の市場は30万円前後のダイニングセットが中心で、ヨーロッパや北欧モダンを真似たデザインばかり。どうせなら欧州の模倣でなく、張地も色も全て最高の物にこだわった飛騨独自のデザインでトータルセットをつくろう。そんなところから和魂の開発がスタートしました。

それまでのシラカワデザインは曲面曲線美のふっくらスッキリとした路線。そのスタイルを「ルノアール」で一旦完結させ、新しいシラカワのスタイルをつくることも目標のひとつでした。
モチーフになったのは祭屋台や千本格子、切妻破風など、地元飛騨高山の伝統的な造形です。無駄な装飾は省き、すべては機能と構造の為の必然性のある美しいフォルムを目指しました。

木部はスオウの赤みがかった紫とヒワダの黄みがかった紫色を合わせて現代の和の色を求め、張地には藍染めの色と日本古来の更紗文様を再現したのですが、すべて最高の仕上がりにこだわった為、色を出すにも大変苦労しました。
藍染めは色移りや色落ちが避けられないため、そのままを張地に使うことは出来ません。その色だけを忠実に再現するために、試作は京都西陣の帯の染め工場に依頼しました。何度も繰り返して染め上げられた糸は升目ごとに5色から6色。この糸を取り混ぜて織ることになるのですが、更紗市松文様に織り上げる為には普通の織機では綺麗な升目にならないため、特殊な織機を使用して高度な技術で織りあげられています。

蘇芳(スオウ)はマメ科の植物で正倉院の御物として現存する古代染料の一つ、檜皮(ひわだ)はその名通りヒノキの樹皮を剥いだもので、国宝や重文などの屋根にも使用されています。どちらも日本古来から高貴な色として使われていて落ち着いた雰囲気を醸し出します。

出来上がった商品に対し、取扱店舗では「売れるわけがない」「是非やってみたい」という両極端の反応でしたが、当時トータルで100万円を超えるような商品はほとんど無かったため、社内でもそういった反応があることは予測していました。
しかし、実際に店頭に置いてみると「今までになかった新しい感覚がいい」「これなら日本的な家にも合う」「小物などひとつずつ揃えていくのも楽しみ」などといったお客様からの反響が大きく、和魂のコンセプトに共感していただけたことに逆に驚かされました。

シラカワの哲学でもある「一品の量産」。これは、大量生産しやすいようデザインされた製品との差別化であり、だれも真似出来ないものをつくるというシラカワの姿勢です。
実は和魂シリーズには図面やスケッチがありません。デザイナーの頭の中で十分に練られたあと、いきなり製品を作るため、試作を繰り返すこともありません。一度も平面に起こさず製品になることでシラカワのデザインは複雑でありながらも自然で美しい線と曲面を持つのです。
そして、一品ものを量産するための大きな役割を担っているのが高精度の「治具」。
微妙な曲線や質感を寸分違わずに量産する為に、各アイテムごとに大小さまざまな治具がつくられます。木材の各パーツを治具に固定することで切削や組立を容易にし、一品を低コストで量産可能にしました。

和家具か洋家具のどちらかしかなかった当時の家具業界に、和洋モダンという新しいジャンルを開拓した和魂の功績は大きく、和の世界にモダンの新風を吹き込んだ「日本人が現代の感覚で使える和家具」という独特の世界観は「和蘇」「素技」などシラカワデザインの第2世代へと続いていくのです。

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